2019年に「彼氏をつくる」という目標設定をし、結果どうなったかという報告をここではできていなかった。
私の人生、学業や就職などのこれまでの進路については、たとえ時間がかかっても最高の選択ができたと思っている。恋愛に関してはしんどい思いが多かったけど、これも、たとえ時間がかかったとしても最高の選択ができると自分のことを信じていた。
2019年のうちにはできなかったものの、2020年3月末に彼氏ができた。ちょうど新型コロナウイルスの感染者が増えはじめ、都民に外出自粛の要請が出始めたタイミングだ。彼とは、2年前に私が仕事でやっているイベントで出会い、ソーシャルではつながっていたものの、しばらくの間ほぼ絡みはなかった。それが昨年12月に偶然再会した。ちなみに以下で言及しているコスプレのリハーサルをした直後のことであった。
それからTwitterでいいねやリプライなどのやり取りが発生し、技術イベントなどで顔を合わせることも時折あったのだけど、新型コロナの状況で、私の誕生祭をどうしようかというのをいろいろな人に相談している中で、今の彼となる人にも相談してみようと声をかけたのが、仲良くなった直接的なきっかけだ。私は私で「もしかしたら彼は『こういう人と付き合いたい』と思っている条件にすべて当てはまっているのでは」と思ったし、お互い話しているなかで、恋愛面でのこれまでの課題や、自分がどういうステータスを求めているかいうことなどが一致し、付き合うことになったのである。
その後ほどなくして緊急事態宣言に突入。これまでのように業界の人とリアルでの接点が持てず、慣れないリモートワークでパフォーマンスが出せず、我々はお互いが唯一と言っていいくらいの、リアルで密にコミュニケーションできる存在となった。もし私達が付き合っていなければ、自粛の状況で新しい恋愛に踏み出すことも難しく、人との会話も減って精神的にキツイ状況になっていただろう。私達はもしかして、ビフォアコロナ最後の恋愛だったのかもしれない。
こうして彼氏ができたのも、これまで取り組んできたいろいろなことが結実しているからだと感じている。ちょうど恋愛に悩む友人に聞かれることがあったので、何をしたのがよかったのか、ふりかえってみたいと思う。
よかったことの一つめは、「彼氏をつくる」と目標設定をし、ブログやソーシャルで所信表明したり、人に話したりしたこと。
私はこれまでいくつかの恋愛をしてきて、愛されてもきたが、これまで愛してくれた人とお付き合いに至ることはできなかった。人と人との関係は多様であり、私は、このような付き合っていない状態に対して「名前がつけられない関係」なんだと考えていたものの、私が理想的だと思う「好きな人と一緒に暮らしてパートナーシップを結ぶ」という生き方に近づけそうにないということ、楽しいことよりも辛いことのほうが大きくなってきたっこともあった。とはいえ、人の生き方を自分の望むようにコントロールすることも難しく、どうしようと思っていたのだ。
「彼氏を作る」には、こういうこれまでの恋愛のうまくいかなさの解決という意味も含みつつ、自分の置かれている状況は理想の状態ではないとし、自分が最高だと思う状態になりたいという決意の表れであった。
このような目標設定をすると行動も変わり、知人に「合いそうだと思う人がいたら紹介してください」と言い、専門家にお金を払って相談に乗ってもらったこともあった。とあるカウンセラーとの対話のなかで、自分の恋愛に関する自己肯定感を下げているのは、これまでの恋愛での扱われ方が原因なのだと、「こんな扱われ方をされて当然の存在なのだ」と自分自身で思ってしまっていたのだと、気づいてしまったのである。
よかったことの二つめは、とにかく本を読んだことだ。「自己肯定感」についてや、これまでだったら、いかにも女子向け、婚活したい人向けで敬遠してしまっていたような恋愛・婚活指南書を積極的に読んだ。例えば以下のような本だ。
このような、いかにもな恋愛本をいくつか読んでいると、男女関係の原則のようなものが見えてきた。そして私が、既存の男女交際にとらわれない「名前がつけられない関係」と呼んでいたものは、巷でありがちの、大切に扱われていない関係であるということに気づいてしまったのである。人間関係に関して、視座が上がった瞬間であった。
多くの人は、トライアンドエラーや人の恋バナを通じて体得することかもしれないが、そういう機会を逃して来た人は、「まずとにかく本を読むこと」から始めてみるのもよさそうだ。
よかったことの三つめは、見た目を磨いたこと。もともと2018年の1年間をかけて10kgの減量をし、見た目、健康、軽快さなどあらゆる点において向上した。
「痩せた結果の見た目がよくなった」といういいことのほか「自分は努力を継続し、自己実現することができる」ということが自信につながった。
身体的なアップデートのほか、片付けや恋愛などでたくさんの本を読み、そこに共通する原則のようなものを掴み取るような能力開発方法に一定の勝ちパターンが見えてきた私は、こんなツイートで美容についての本を募ったり、Facebookで「私は面白い自信があるのになかなか彼氏ができない! だから美容に取り組もうと思うんよ」と書いて、美容情報を募った。
自分の能力開発に一定の勝ちパターンが見えてきた。その分野の売れてる本をいくつか読んで全体像や方法論を掴み、良書を読んでモチベを保ちながら努力を継続していくの。そんでな、外見を向上させるにはどういう本を読んだらええんや…美容に関する本なんてそれこそ有象無象がありそうで…
— 近藤佑子 (@kondoyuko) 2019年7月22日
そこで、おすすめの本を紹介してくださる方もいれば、利用してよかったサービスを教えてくださる方、お茶に誘ってくれて美容情報についてお話してくれた方、おすすめのコスメブランドを紹介してくれた方など、たくさんの方のご協力を得た。ここで教えてもらったサービスやコスメは今も愛用している。そのあたりの話はここに書いた。
例えばある友達は「自分のことをお花だと思って大切にしてくれる相手がいい」と言っていて、当時はピンと来ていなかったけれど、今では確かに彼氏にお花のように大切に扱われている。
よかったことの四つめは、彼氏に求める要素を書き出したこと。これは複数人からアドバイスがあり「いい人なのに相手がいない人は要件定義ができていない」という方もいれば、「どんな彼氏がいいか書き出すといい。そうすると全部叶う人が出てくるから」という方もいた。その方のアドバイスどおりに書き出してみた。例えばこのような要素だ。
- いろんな話ができる
- インターネットが好き
- 仕事を楽しんでいる
- 熱中しているものがある
- 煙草を吸わない
他にも、「さすがに全部当てはまる人はなかなかおらんやろ」と言いつつ「こういう人だったらいいなぁ」という要素も書き出してみた。
- メガネ男子
- 一人称が「僕」
- 居住地の好みが近い
今の彼氏は、当時書き出していた要素ほぼすべてが当てはまっているのである。「居住地の好み」に至っては、同じ区に住み、家は徒歩30分圏内である。これによって自粛期間中もあまり罪悪感を持たずに会うことができた。これがもっと離れていたら、こうなってはいなかったかもしれない。
自分のなかに「こういう人がいいなぁ」という要素があったからこそ、今の彼氏とまだ付き合う前に「もしかしてこの人、彼氏に求める要素が全部一致していて最高なのでは?」ということに気づけたのである。
総仕上げとして、おすすめされた以下の本を読み、2019年の12月に1日1パートずつ読み進めた。
理想のパートナーが見つけられていない原因や、自分の心を深くまで知ろうとするようなワークが含まれていて、私が内面を磨くためにこれまで読んできたさまざまな本の、集大成のような本だった。実際、この本を読んでいる途中で今の彼と再会したし、これを読み終わって2020年に突入すると、もう「彼氏を作る」という目的のためには、自分のことは十分磨いてきたかな(これからは自分のために磨きたい)と思ったし、なんだか、いい人と出会えて簡単に仲良くなれる気がするような、風向きが変わってきたような感じがしたのだ。
今の彼氏となる人に対して「もしかしたらこの人は最高かもしれない」と思ってから、この人に対してどのようなアクションをすればいいか見えた。これまで気になっていた相手は、飲みに誘ってもドタキャンされていたり、メッセージのやり取りが滞ったりしていたのに、この人とは付き合うまでが驚くほどスムーズだった。
付き合うまでに2人で会うのも、「付き合いませんか」と提案するのも私からだった。これは恋愛指南的には原則タブーかもしれず、もう少し待っていたら相手から言われたかもしれないけど、自分からいくのがいいと、直感的に思った。タイミングが難しいと思うことはあれど、ドキドキしたり緊張したりしなかった。そう提案するのが当然であるように。
最近インターネットでも、異性から思いを寄せられることの暴力性について論じられ、マッチングアプリや結婚相談所のような所定のプロトコルに則ってしか恋愛が難しくなっていることが言及されている。振り返ってみると、彼もそのあたりで悩んでいたようだった。私はというと、彼から言ってもらえたほうが長続きするかもしれないと思いつつも、自分からこのタイミングで告白したほうが成功率が高いと思ったからである。私が告白したその日は、彼が髪の毛を派手な色に染めてちょうど1週間後のことだ。髪を染めることが彼にとって重要なことだろうと直感的に悟った私は、髪を染めて1週間で彼女ができたとしたら、それは一生のネタになるだろうと、それだけで提案を受けてくれる確率が上がるっだろうと思ったのだ。その直感は見事に当たった。
「彼氏をつくる」という目標の達成は、身体、自己肯定感、恋愛観、美容、直感を磨くことなど、自分のこれまでのアップデートの賜物だったように思う。そして、それは彼にとっても同様だったのだそうだ。
私達が付き合うということは、単に恋人ができたことの喜び以上に、私達がたくさんのことを乗り越えてここまで来れたという祝福なのだ。そして、私達がこうなれるまで支えてくださった周りの方々に対して、感謝の気持ちを伝えたい。