いままで「メチャクチャにヤバイ」の経緯記事を何本か書いてきて、もうこのネタで引っぱるのはもう辞めにしようと思っていたのだけど、もうちょっと書いてみたいと思います。前回までの記事は、「大きくなりすぎたパブリックイメージを埋める」ことが一番の目的であり、多くの人に支えられWebサイトができたのだということを伝えたかった。副次的には、自分について書かれた記事が多く出てきたり、取材を何本か受けましたが、それより私自身が発信することに大きな意味があり、今回のプロジェクトを「物語」として読み手に面白いものとして伝えたかった、と思っていました。したがって、「何が言いたいのか分からない」という意見もネット上で見られましたが、全くそうであり、読んで有益なものではないよなあということも思っていました。
今後の就活のためにも(遅いかもしれないけど)何を実現したくてサイト制作をしたのか、サイト制作は自分に何の意味があったのか、まとめてみたいと思います。
1.人を巻き込むということ
私は、人を巻き込んで何かを興すということが苦手だ。もっというとチームワークに関して苦手意識がある。これは仕事をしていく上で大きな欠点であることは相違なく、願わくば解消したいと思っていた。今回のWebのプロジェクトでは2つの意味で人を巻き込むことにチャレンジしてみたいと思っていた。
1-1.多くの人に関わってもらうー具体的には他己分析をしてもらう
1-1に関して、自分の誕生日にお祝いのメッセージやプレゼントの代わりに他己分析をやってもらうという企画を作った。(この企画は「メチャクチャにヤバイ〜」にて「推薦者の声」の項目として内包されている)「100人の他己分析」と銘打ったように、多くの人に参加してもらいたかった。ここに「私の苦手としていることをインターネットを通じて可能にする」の意味が込めたつもりであり、Webの可能性を自分なりに見出してみた。結果としては、予想をはるかに超える多くの人を巻き込むことになった。
1-2.他の人と一緒にサイトを作るーエンジニアと手を組む
Webサイト自体は一人で作り、技術を体得するいい機会にはなったが、本来は友人と一緒にサイトを作る予定であり、この連携が出来なかったことは反省している。忙しそうな友人に遠慮してしまったところがあるが、もうちょっと彼に何を求めるか、自分は何をして欲しいかと早く明確にしたかった。リリースしてからは非常にまわりの人に助けられたので、自分も誰かが困っている時にこのように立ち振る舞いたい。
2.面白いものに対する感度、リサーチ、編集能力を伝える
例のWebサイトでは自分をコンテンツにしているように見えるが、今後の私が取りたい立ち位置を考慮すると(2-1)「自分を面白いものである」とみなし(2-2)「その面白さをいかに伝えるか」をリサーチした上で、自分の(2-3)「言説の再編集」を行った上で提示する実践をした、とみなすことができる。
2-1.「面白いもの」への貪欲さ
例えば学生寮など自分が直感的に面白いと思える対象に対する貪欲さがあり、危険を顧みずに(怖がりながらではあるが)飛び込んでいく素養がある。今回自分をコンテンツとしたのも、「自分を面白いもの(就活なので)」として対象として設定したにすぎない。
2-2.面白いものを伝えるためのリサーチ
パロディ元の影響が強いものの、制作物の単純な質を上げることと、就活(自 分の良いところを伝える)という文脈に即したプレゼンテーション方法を、リサーチの結果実装することができた。
2-3.言説の再編集
基本的に、コンテンツはTwitterやFacebookの発言やエントリーシートの再編集であり、今回評価が高かった原因として編集の妙があると思っている。同時に、「何ができるか分からない」「何がしたいか分からない」など、今回受け取ったネガティブなフィードバックは自分の反省点として早めに取り入れるべきであった。
3.自分の生きづらさの解消
私が今、また今までやってきたことは、後付ではあるが「自分の生きづらさの解消」と位置づけることができる。生きづらさの解消には内面からと外面からの2つの方向性がある。これを原動力とし、社会的に意義のあるものにしていくのがこれからの目標である。自分を切り売りしているところは否めない上、自分が(例えば収入増により)生きづらさを感じなくなった場合に自分がどうなるかという不安がつきまとっているので、色々な情報のインプット、広い視野での問題意識が必要であると感じた。ここまで感じた時、単純な知的好奇心以上の「私には勉強が必要だ」という意欲が湧いてきたのは良かった。
3-1.内面からの解消ー生きづらい原因を直接取り除く
例えば、「Facebook」の普及により人との交流がしやすくなったなど、私が不得手と感じていた事柄がWebの力により克服できそうという期待があり、WebやITの力にとても可能性を感じている。今回も、WebやSNSの力により、自分の存在を「最小限のコストで」知らしめることができ、試験的、人柱的ではあるが自分が就活に対して「こうなったらいいな」と思えることを実施することができている。こうした生きづらさの解消、こうなったらいいなを、低コスト、スピーディーに実現することができるWebに可能性を感じている。
3-2.外面からの解消ー文化を愛する
私は、過去にはコンサートホールの設計、美術館の学芸員、アートディレクターなど、大文字の文化を支える職に憧れを感じていた。これも、音楽や美術は、(程度の差こそあれ)地方の貧乏な子どもにも外の楽しい世界に目を向ける希望を与えてくれ、音楽や美術を好きだと思うことで乗り切ってきた生きづらさがあったからだ。今は、都会に出てきて解放されており、「本当に自分が面白いと思えることはなんだろう」と、自分の感覚を鋭敏にしながら考えている。今は、文化といっても芸術などのように「大文字の文化」ではなく、コミュニティが持っている文化圏のようなものに惹かれている(オタク文化よりオタクの人に興味がある、みたいな)。「メチャクチャにヤバイ〜」のサイトでは、「自分の持っている世界観の提示」を実現したいと思っていた。狙ってうまくやったものではないが、自分の出したかった「京大生的な感じ」「誠実さ」を今回の企画でうまく提示できたと思う。
4.質の高いものを作る
今回、目標としては「バズる(はてブ数50)」を掲げていたものの、バズるために何が必要かは全くといっていいほど考えておらず(考え方が分からなかった)、単に質の高いものを作ろうと考えていた。その最大限のモチベーションは「自分が対象になっている」ことと、これは完成したら楽しいものになりそうだという期待があったからだとおもう。その結果、偶然だとは思うがたくさんの方に見ていただけた。毎回このような結果は出せないと思うが、自分がいいと思うものを出していきたい。
おわりに:就活の反省
今こういう文章を書いているのも、色々やってみてもやっぱり(思ったほど)就活がうまくいかないという不安があるからである。今更になって、自分が就活に対する準備不足を感じている。今までの私は面接の準備として何をしたらいいかが分からなかった。そしてその場で気まぐれなことを答えていた。私は割りと「対面で話す」ということが苦手だ(それでもだいぶ克服したほうだと思うけど)。今まで面接に限らず人と話をするときは「私の話を理解せよ」という体で聞き手を無視した話をしてしまっていたが、これからは「伝えない」といけない。精一杯伝えないといけない。これを怠ってきたことは、入りたい企業に対して不誠実だったといますごく反省している。これは仕事でも、修論でも必要な能力だ。知人の研究者さんも、私の研究に関して「関心は一貫しているので、あとは、順序をつけて構造化していくべきだと思います。」と言っていた。自分が最低限「こんなふうに伝えれば伝わる」というスキームを獲得出来れば「人との相性に左右される」と思っていた対面接触も怖くない。これは本当ならM2になる前に、本命の面接がある前に気づくべきだったが、まあしょうがない。
サイト制作もブログも、Webなら自分が伝えられる。「私の声を聞け!!!」でも面白がってもらえている。そこは自信を持って、もうちょっと、がんばろう。
自分がどうなりたいかがちょっとまだ見えない。ブックマークコメントでも「文体が中途半端なインディーズバンドのフライヤーみたいだな/マジレスすると、「就職したい」のではなくて「何かになりたい」というのばかりが伝わってくる」があって、ぐさりとしたのだが、「就職したい(普通に賃金が得たい、奨学金を返したい)」というのと「何かになりたい」に乖離がある。思えば論文も一緒だなあ、、と思ってきた。具体的にこうなりたい論文/人を見つける、参照するなど行動をおこしていきましょう。